「高年齢者雇用安定法」が2020年に可決され、いよいよ2021年4月から実施となります。
では、これから分かりやすく説明します。
高年齢者雇用安定法の目的とは
そもそも、高年齢者雇用安定法とは、高齢者の雇用促進の一環として、事業主が高齢者が働き続けられる環境整備を目的とした法律です。
1971年に「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」として制定された同法律は、1986年に「高年齢者雇用安定法」に名称が変更されました。
そして、2013年には再度改正された同法律は、定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、定年制を廃止、65歳まで定年年齢を引き上げる、65歳までの継続雇用制度を導入のいずれかの措置を講じることを企業に義務付けました。
働く意欲がある人は年齢に関わらず、その能力を十分に発揮できるよう、高年齢者の働く環境をよりよく整えるために成立された法律です。
2021年高年齢者雇用安定法の変更点
そして、従来の制度との大きな違いは、現行の65歳までの雇用確保義務に加え、70歳までの「高年齢者就業確保措置」努力義務が付け加えられた点です。
これにより、企業側は70歳までの高齢者に対し「高年齢者就業確保措置」を設けることが努力義務となりました。以下①~⑤のうち、どれか1つを講じるよう努めなければなりません。
①70歳までの定年引き上げ
②定年制の廃止
③70歳までの継続雇用制度の導入
④高年齢者が希望する場合、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤高年齢者が希望する場合、70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入
あくまで働き側が希望した場合です。
70歳までの雇用を継続確保
段階的に引き上げられてきた定年制ですが、「70歳までの雇用確保の努力義務」が盛り込まれました。
まあ、理解に苦しむ部分ですが、要するに何もしない事業者は罰則は無いにしろ指摘材料になりうるという事でしょうか。
また、グループ会社や子会社への継続雇用も支援しなければいけませんし、不当なる賃金カットも違法となりうる事もあります。
実際、70歳まで現役で今の条件で働けるかが問題になってきます。
たとえば、体力面、健康面で無理が生じないか、また、給料も現役並みでもらっていると年金との兼ね合いもあります。
70歳までの創業支援措置
そうですね!老齢厚生年金と給料との合計額によって年金が減額または停止してしまうことは他の記事で書きました。
そして働いていても支給が減額されない方法が分かりました。
結果、会社側と業務委託契約を結んで仕事を続ければ老齢厚生年金との兼ね合いも関係が切れる事も理解できたと思います。
そのあと押しがこの「業務委託契約を締結する制度」です。
もし、その雇用する高齢者がフリーランスを希望した場合は業務委託を結んだり、社会貢献事業への支援といったサポートを会社側は行う事とあります。
高年齢者雇用安定法の背景には
少子高齢化が急速に進んでいるわが国です。
これにより労働人口が減少しているのが現状です。逆に定年退職後に何かしら仕事をする人の割合が増えています。
だったら労働意欲がある高齢者にはどんどん働いてもらおうというのがこの趣旨のようです。
その為には定年制の廃止や定年年齢の引き上げ、雇用の継続、業務委託といった高齢者が働く為の支援を会社にサポートをさせる法案なのです。
また少子高齢化によって深刻な状況に陥っているのが公的年金です。
公的年金はかつては65歳以上の高齢者1人を10人以上の現役世代が支えていました。
ところが、2015年には高齢者1人に対して2.3人、2065年には高齢者1人に対して現役世代は1.3人という比率になることが予想されております。
これ打破する為には定年時期を延ばし、いくらかでも年金受給開始を遅くさせる狙いがみえます。
「高年齢者雇用安定法」は「70歳までの雇用確保の努力義務」とあるがいずれは義務化がその先に見えてきそうです。